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杭と、家と、命と

旭化成建材の某マンション杭工事問題の発覚から、
他社でもぼろぼろと、建築世界の膿が出てきている今の世の中です。

私の会社では2・3年ほど前から事業転換しており、
土地を仕入れてから資金回収までがえらく長ーいマンション事業を縮小して
回転率の速い戸建て事業に主軸を置くようになっていましたので
ああ…本当に正解だったよねあの時の経営陣の判断は……!
と下っ端ながらにも思ってはいるのですが

それでも世の中の煽りを受け、かつての自社マンションの杭調査に走らされている人、管理組合からの問い合わせ対応窓口を張っている人は、うちの社内にもいるわけで。
本当に日々お疲れ様です、と言いたいです。


まったくもって何が起こるか判らない世の中ですね。
ひとたび黒が出れば、ぼろぼろと崩れ落ちていくのはとても早いものです。
信頼を築くのには長い時間が要るが、壊れるのは一瞬だ。


管理・監視された社会になってきているとはいえ、建築業界においてはブラックボックスな部分がまだまだあります。
担当者が「この数値でいこう」 と決めたら、後はさらーっと流れに流れてしまい
実際に実務をやっている立場だからなおさら感じ得るのですが、建築確認検査機関や役所さえ歯止めにすらならないことは、実は色々あるものです。

あくまで「図面上」、「提出書類上」、法律的で計算的な「整合性」が取れていれば、
それは「合格」とみなされてしまう。
実際の現場がどうなっていようが、いちいち一棟ずつ見に来るわけでもない。
要所要所の検査は当然ありますがね。
そこは各社のコンプライアンス頼り、建築士の設計責任にお任せ。


多くの棟数を抱えていくと、どうも右から左へ流して“こなして”いく作業になりがちですが
一つずつ立ち止まって考えること、細やかに気付けるための心の余裕、多数の目で確認することの重要性。
私もしがない設計者として、より一層、身が引き締まる思いでおります。

プラン作って、図面引いて、役所書類作成して、
確認済証(※建築してもいいというお墨付き)を下ろしてもらって、まずバンザイ。

着工して、役所検査受けて、合格証もらって、竣工してひと段落。
あとは竣工図面作って、無事に引き渡ししてバンバンザーイ。
……そういうことじゃねーんだよなと。


私が設計して建った家は、むしろ引き渡してからがスタートであり、
これから、とある家族の長い人生が始まっていく。そう、何年も。何十年も。

大袈裟に言えば、私の判断が、何十年もの人の命を握っていくということ。
そう思えば、とてつもない恐ろしさを感じました。
そしてこれは、この先決して忘れてはならない、家の設計士として重要な根っこの部分なのだと思っています。

# by kzm83 | 2015-11-27 00:00 | 仕事の話

『マッピー』用ボーダー

無題

叱られた後にある晩ご飯の不思議
あれは魔法だろうか、目の前が滲む

***

母が叱るのはしつけのためであって、憎いからではない。
謝っても許されずに反省させる時間を置くのは、軽んじて欲しくないからだ。
それでも夜になれば、晩ご飯が用意される。
温かいうちに食べなさいと言われる。
幼いながらに顔を合わせるのが気まずいというのに、なぜこのハンバーグは慰めるかのように美味しいのだろう。

「〇〇ちゃんちはこうだった」、という話をよくした。
お弁当の中身、持ち物、遊び道具、ペット、人のものを羨ましがってねだった。
欲しいものが言った分与えられることが、愛されている証ではないということ。
欲しがるものを言われるままに与えることが、愛ではないということ。

お弁当の蓋を開けたら、オムライスが丸ごと入っていた。
バンダナで包むのが格好いいと言ったから、そのお弁当箱は赤いバンダナに包まれていた。
水筒の中身は、初めて知った甘いミルクティーという飲み物だった。
帰りの寒空の下でも冷めないように、魔法瓶をさらに保温カバーで包んであった。

皆と同じ既製品のカバーが格好いいと言って、手作りを嫌がった。
今なら、世界に一つだけのそのありがたみが判るというのに。
手作りの手提げカバン、学校椅子のざぶとんカバー、体操着袋。
夜な夜な、どれだけの手間をかけて縫ってくれたのだろう。

塾でとる夕飯で、ハンバーガー店の配達を頼む友達を羨ましがった。
ある日、用意されていたお弁当をわざと持っていかずに、ハンバーガーを注文して塾へ行った。
休み時間を狙って、忘れたと思ってお弁当を届けに来てくれた母が、そのまま持って帰っていった。
それからたまに500円玉を渡し、ハンバーガーの日をつくってくれた。

流行りのアニメキャラクターのプリントTシャツを買ってもらえなかった。
変身アイテムも、武器も、どうせすぐに変わるからと。
その代わり、シルバニアファミリーの人形や小物は買ってもらえた。
与えていいものと我慢させるべきものとの区別があったらしい。

嫌いな野菜をアレンジして食べられるようにしてくれた。
買ってもらえるおやつは1つだけだったから
風邪をひいた時に買ってきてくれたプリンには特別感があった。


帰宅する頃合いを見て、ちょうどよく揚げ上がっている天ぷら。
つらい気分を慰めるような煮出しの甘いココア。
仕事から帰って、家に置いてあるタッパー入りのおかず。

何不自由なく与えられてきたものと
我慢させられてきたものと
今まで通らなかった望みが一度だけ叶った時の喜びと
それらの思い出は、この心と記憶にしかと刻まれている。

結局は、子供にとって母親とは優しさのカタマリなのだ。
何者にも敵わぬ無償の愛。

もし生まれ変わってもまた、あなたのお腹の中から生まれてきたい。
そう想える私は幸せ者なのだろう。

# by kzm83 | 2015-10-11 18:19 | 他愛ない話

『マッピー』用ボーダー

the rose

Some say love it is a river
That drowns the tender reed
愛は河だという人がいる 若くて柔らかい芽を飲み込んでしまう河だと

Some say love it is a razor
That leaves your soul to bleed
愛は鋭い刃物だという人がいる 魂から血を奪い去る刃物だと

Some say love it is a hunger
And endless aching need
愛は飢えだという人がいる 満たされることのない渇望だと

I say love it is a flower
And you its only seed
私は愛は花だという そして、その大切な種が貴方なのだ


***

愛とは一体何だろう。

誰もが一度は考え尽くしたことがあるだろう。
雀が鳴くまで考えても答えが出ず、そして思考を放棄しただろう。
「愛はきっと奪うでも与えるでもなくて
気が付けばそこにあるもの」
そう称した作詞家に敬意を払い、ひとまず眠りに就いただろう。


愛とは、相手の幸せを願うことだ。

とりあえず私はそういおう。
詞のようなたとえではないが、これが一番しっくりくる答えだ。

見返りを求めず、強要せず、無条件に相手の幸せを願う。
喜びと悲しみを分け合おうとして
苦しみと痛みを引き受けようとして
それらはすべて相手が幸せになるだろうと思ってのこと。

この一方通行が伝わらず、時にイライラして
本当は要らないはずの見返りを求めようとしてしまう。
比べ合えば誇れるように錯覚して
他人のものさしで測ってみようとしてしまう。

形づくることに迷うこともあるだろう。
意識して、つくるものではないというのに。

相手の幸せを切に願うということ。
理屈もなく、衝動でもない。
無意識に、無条件に。
たとえ自分がどんな状態にあろうとも。なろうとも。
それが愛だ。


愛とは、一日置き去りにした犬が顔を舐めてくれることだ。
愛とは、欠点を抱きしめ合えることだ。
愛とは、理解の別名だ。

たとえは尽きないが、考え尽くすだけで奥深い。

# by kzm83 | 2015-08-22 01:58 | 他愛ない話

『マッピー』用ボーダー

8月3日

誕生日です!!真夏生まれです!

1年に1度の誕生日、その1日は自分が主役というか、かなりとても大袈裟にいうならば王様のような?
そういう感情を抱いていた頃がとても懐かしい。
毎年大体この頃、世間が熱中症で騒がれる中、母親が苦しみ生んでくれたのだろうと思うととても感慨深いのです。

# by kzm83 | 2015-08-03 01:47 | 他愛ない話

『マッピー』用ボーダー

ご褒美

ご褒美_f0227509_20432331.jpg

今度は一人でふらっと行ってきちゃいました。
下記事のビストロ「Cubeman」!!
どっぷり疲れた週の中日に、川崎で早めにそのまま直帰だったからつい。

写真はお通し前菜とシェフおまかせオードブル。
あとメインに舌平目のムニエルみたいなのを食べました。ソースが美味しい!

平日の中日だったから人も少なくて……というか他には1組+同じくおひとりさまくらいしかいなくて、とてもまったり過ごすことができたので
今度はプランニングやなんかの作業を持ち込みながらゆっくり食べてくるのもいいかなーと思いました。

# by kzm83 | 2015-06-05 20:47 | 日記

『マッピー』用ボーダー